最近の成果として特徴的なものを紹介します。

・正社員の組合員が10年間にわたる会社の度重なる配転、賃金差別など幾度も改善を実現しましたが、度重なる仕打ちで心身の病気なりました。本人の変わらぬ闘う意思と組合の断固たる姿勢で交渉し、結果退職しましたが、当初の予想を上回る結果に当人も組合も充実感を味わいました。  

・有期雇用労働者の件で、組合員が職場で規律の違反を指摘したことから有期雇用期間満了で継続雇用を打ち切ってきました。団体交渉での解決を追及しました。しかし、会社側は一方的に団体交渉での解決を拒否したので、労働契約法違反等で裁判を行い、組合員の納得できる内容で和解解決に至りました。

・派遣労働者の問題では、会社が自社のミスで支払った時給の返却を求めるなど、団交で解決する姿勢が見られないために社前宣伝、ビラ配布を行い、和解に至りました。

・障碍者枠での有期雇用労働者の勤務が勤務開始から5年となることから、無期雇用転を要求し無期雇用となりました。

これらの案件は組合員がよく話し合い、団体交渉などに自ら臨むなど、自分のこととしている姿勢に組合と共同して前進して解決したものです。

以下、具体的な事案は「争議の報告」をご覧ください。

①C社(鉄筋コンクリート建築物の調査・診断、補修・改修補強工事など)

Yさん(女性)は前争議から復職を果たしましたが、精神的負荷と長時間通勤から再び体調を崩し休職をせざるを得なくなりました。その後しばらくして、「退職したい」との申し出が電話でありました。こぶしとしては病気休暇を取るように勧め、Yさんは傷病休暇に入りました。こぶしから「職場復帰」要求書を2度提出し、団体交渉で弁護士との事務折衝を申し入れました。退職を前提とした金銭解決を打診し、解決金を提示しました。

1回目の回答がありましたが、こぶしとして増額を求めました。その後弁護士からこぶしの要求通りの金銭解決の回答が有り、会社都合退職とし、「特別退職金」を支払うとの合意書締結に至りました。今回の、「特別退職金」は就業規則通りの退職金の7倍以上の成果となりましたが、Yさんが闘い続けたことが、今回の解決に繋がっています。

 

②F社(OA機器販売など)

Kさん(女性)は、「セクハラ」「わいせつ行為」等による精神的負荷で病気となりましたが、休職中に会社が「病気休職期間満了」を理由に解雇してきた事件です。

わいせつ行為については大阪地裁(損害賠償事件)に提訴し、残業代等の請求事件は簡裁への調停を申し立てていました。強制わいせつ裁判と残業代請求事件は、本人の病状(精神的ダメージ)が悪く、闘いを継続できない状況であったことから両事件ともに和解解決となりました。

③リ社(タクシー関連商品販売など)

Sさん(男性)は、管理職として採用されたにも拘らず、営業マンとしての仕事をさせられ、事業場外みなし労働制度下で長時間労働を強いられていました。Sさんの業務は事業場外みなし労働に該当しないとして、団体交渉で時間外労働賃金の支払いを求めましたが、企業は事業場外みなし労働制を盾に一切の支払を拒否してきました。

当初は、団体交渉と並行して、大阪中央労働基準監督署および大阪労働局との交渉を重ねて来ましたが、労基署・労働局は労働者側の主張を受け入れませんでした。

やむを得ず時間外労働賃金の支払いを求めて大阪地裁に提訴して闘いを継続してきましたが、9月にSさんの納得できる内容で和解解決に至りました。

④公益社団法人(空港の鳥獣駆除・排除)

Kさん(男性)は有期雇用で、関西空港で働いていました。そこでは、ずさんな管理状況や、禁止行為が頻発、パワハラ問題等があり、その改善を具申したところ、それを嫌悪した役員が「有期雇用期間満了」で雇用を打ち切ってきました。

Kさんは、副所長の任についていたにもかかわらず、「雇い止め」を不当としてこぶしに加入し団体交渉を重ねました。法人側が一方的に団体交渉での解決を拒否してきたことから、労働契約法違反等で大阪地裁に訴え係争していました。Kさんの納得できる内容で和解解決に至りました。

⑤T社(手形割引業)

 Kさん(男性)に対して業績不振を理由に2度にわたる賃下げ(4万余円)を行ってきました。さらに、会社はコロナ対策の緊急事態宣言中に他の社員には勤務時間短縮措置としましたが、Kさんには全休業を命じてきました。こうした不当な扱いに不安と怒りを持ってこぶしに加入し、休業問題と賃金引き下げ問題は和解しました。その後、新たに労働条件の引き下げを含む就業規則改悪案を提示してきたことから団体交渉で修正を求めています。

⑥ H社(コンピューターに関する開発・インプット・派遣等)

Hさん(女性)は、派遣先では時給1,300円で働いていましたが、派遣切りとなり派遣元で正社員として時給1,000円で働いていました。

しかし、会社の過誤で7カ月間時給を1,300円で支払っていたので、過払分を返還するようHさんに請求してきました。

低賃金で働かされていた不満もあり、会社のミスである過払い金を謝りもせず「返せ」と言ってくる会社の姿勢に我慢がならずこぶしに加入しました。

会社は、4月から時給を1,000円から1,100円に引き上げる内示をしていましたが「過払い金を返さないのであれば時給は1,000円のままである」との主張を続けていました。会社側に誠意が見られないため、社前行動(マイクでの宣伝・ビラ配布)と、社長と会長宅近隣でのビラ配布を行いました。この効果があったのか、和解で解決しました。

⑦ F社(派遣)

 登録型派遣で働いていたKさん(男性)が派遣先から雇い止めされ、派遣元企業も直ちに派遣契約を破棄してきました。団体交渉でKさんの派遣先を確保するように交渉してきました。コロナ禍での困難性もありましたが、派遣先紹介の不誠実さもあり、長い期間派遣先が見つからず経過しました。最終的に本人が新たな就職先を確保した事で収束しました。

⑧ 府内市役所 

Oさん(女性)は、前の争議の解決後、福祉事務所で有期雇用として働いていましたが、「パワハラ」「モラハラ」問題等で精神的なダメージを受け休職に至りましたが、有期契約期間満了で雇い止めを行ってきました。市当局に対して何度も団体交渉の申し入れを行いましたが、「地方公務員法」を理由にして団体交渉に応じて来ませんでした。

労働委員会に救済申し立てを行うことも検討しましたが、Oさんの病状を見ると無理はできないと判断し断念しました。

⑨ T社(タウン誌等の発行)

Nさん(女性)は、障碍者枠で低賃金(時給980円」の有期雇用で働いていましたが、勤務開始から5年となることから、無期雇用への転換と時給アップ、月給制を要求して団体交渉を行ってきました。労働者本人が申し出れば使用者は無期雇用への転換の義務があり、会社に申請して、次回更新日から無期雇用とする旨の回答がありました。その後、無期雇用への転換が実現しました。合意書で最賃引き上げの際に、賃上げ交渉をするとしたので、賃上げ要求して。一定の成果を勝ち取りました。

⑩ V社(大手ゲーム会社の孫下請)

Iさん(男性)は、長年ゲームソフトの企画・開発業務に従事してきましたが、会社は一方的に解雇してきました。団体交渉を重ねている最中にIさんから「3月中旬から再就職先で勤務開始する」との連絡が入り、急遽、金銭解決を提案し、解決金を支払わせることができました。

⑪ R社(コールセンター)

Aさん(女性)は、1年間有期雇用で働いてきましたが、会社は勤務成績不良を理由として雇止めを行ってきました(別件も合わせて、Aさんにとって3度目の案件)。

雇止め撤回を求めて団体交渉を継続中ですが、会社側は退職前提の交渉を求めて来ています。

⑫ D社(貿易関連業)

Bさん(男性)の働いていたスイス資本の貿易関連会社がデンマーク資本のDに株式買収されました。会社側はBさんの勤務評価は低く、評価通りであれば一時金支給はないが、会社の温情で低額の支給を行うと回答してきました。建交労とこぶしは、回答に対して抗議を行い団体交渉で追及してきました。コロナを理由に団体交渉を引き延ばして、その間に業務命令を聞き入れないとの理由を付けて、Bさんに訓告の懲戒処分を出してきました。

Bさんは、体調を崩し休職していましたが、原職復帰を求めて復職しました。会社側は「以前の仕事は無くなった」と配置転換を求めてきていますが、健康で働き続けることが出来る職場環境を求めて団交で追及していきます。

⑬ H社(商社)

Mさん(女性)は事務職(女性のみ)で、事務職は2等級で頭打ちとなっていることから、Mさんは「総合職」への昇格を求めています。団体交渉では解決しないとMさんが判断して大阪地裁に提訴して係争中です。大阪地裁では円卓を中心として審理を行っていますが、会社側は和解条件として退職を前提としてきました。Mさんには一切の瑕疵はなく退職前提は受け入れないとの強い意思があり、和解の条件は無くなりました。裁判の争点はほぼ出尽くし、これからは証人尋問が行われ判決を求めることになります。

⑭ K社(IT関係企業)

シフト制で働いていたMさん(女性)に対してシフト外の日に年休を取らせていたことと、労働時間を誤魔化していた件は団体交渉で追及し解決しました。 

派遣先の会社との取引が終了したために、新たな派遣先で就労しています。その際、要求していた賃上げが実現しました。積み残しの要求が有ることから団体交渉は継続するようになっていますが、コロナの関係で団体交渉が持てていません。

■コンステック「合意」解決■2022年5月10日現在

団体交渉で「合意」解決しました。

■ハートリンクス(株)「合意」解決■2022年5月10日現在

ハートリンクス(株)【大阪市中央区高麗橋二丁目2番7号】との賃金問題紛争は団体交渉で「合意」解決しました。

■コンステック「勝利和解」■ 2021年11月2日現在

(株)コンステック(建設業)で働くYさん(女性)が、一方的に賃金引き下げられたことで労働委員会に救済を求めていた事件です。

労働委員会は2020年10月に結審し、2021年2月12日に完全勝利の救済命令を出しました。この命令は多くの労働者を励ます画期的なものと言えます。

この闘いは、労働委員会での勝利命令が決定的ですが、組合が会社側弁護士と交渉し短期で「勝利和解」に至りました。

詳しくは、こちらをクリックして下さい→  PDF版はこちら→

■ハートリンクス(株)■  2021年9月7日現在

 ハートリンクス(株)【大阪市中央区高麗橋二丁目2番7号】は、給料を7ヶ月も間違って(過払い)振り込んだにもかかわらず、謝罪もせずに「全額返金せよ」と強要してきました。このことに疑問を感じてHさんはこぶしに加入しました。

 団体交渉を重ね、会社は過誤支給した給与は返還しなくていいが、1,100円にすると内示していた時給を1,000円に据え置くと回答してきました。

 労働組合から「過誤支給された一部は返還すること」「時給を引き上げること」を提案しましたが、会社は「社長が了承しないから」と円満解決を拒否してきました。

 そのため、労働組合は団体行動権(争議行為)を行使すると通告し、8月10日、17日に社前宣伝を行いました。宣伝では上記の経過を訴えて抗議するとともに、早期の解決を迫りました。

 「時給を上げること」「社長が団体交渉に出席すること」「給与の過誤支給問題を早期に解決すること」「過誤支給したことを謝罪すること」を訴えると、周りの会社、店舗からでてきて、宣伝を聞いている方もいました。

 9月1日に団体交渉を行いましたが、社長は出席しませんでした。そこでは、時給引き上げ拒否の回答がなされました。さらに、会社がインターネットで時給1,300円で募集をしていることも隠していました。

 ひきつづき、こぶしは、交渉をつづけていきます。